プシガンガ
故郷のとある交差点で、夏の日差しが背にあたり、地面に濃い影が落ちている情景をありありと思い出します。そこで何かを見たり聞いたりといった現実的な事件や現象が起こった記憶はありませんが、なぜか事あるごとに思い起こされます。一つの情景がここまで明確に残るのは、ただただ癖のように何度も繰り返し思い出すためなのか、あるいは無意識に繰り返し警鐘を鳴らしているのかもしれません。自分の知覚しない深層で「何か」が起きた現場を忘れぬように。
物狂いの状態から正気に戻ることを「つきものが落ちたように」と霊障に例えます。もし悪霊があの交差点の陰から腕をのばし、何かをつかんでお昼を告げる空砲の「ドン」とともに空に消えたのでれば、あの時点からこちらはずっと「正気を失っている」ことになるのでしょうか。帰省した折に確認した実家近くの例の通りは、いつも思い出しているままに、健在のようでした。(2016.08.23)
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