MOTHER-18話 すきすきだいすき


後編:父の日を超えて
親のエゴと言われようとも「人生最良と思われるもの」を掲げ、見るか拒むか受け取るか、子との関係性の中でうまく付き合っていくしかないのでしょうか。同期のイケメンが「自立できる経済力」、母子家庭の後輩が「両親のいる家庭」、滑舌の悪い先輩が「ユーモアのセンしゅ」と答えたさまに
この問いは次世代に残したいものよりも、回答者自身が欲しいものを炙り出すように見受けられました。
 おおよそどんなプレゼントも子の可能性を狭めてしまいます。不条理に味わう屈辱や、欠損ゆえにもてた優しさ、胸のすくような孤独へも、そこへ至る可能性を減じてしまうのです。
 後日、自分の生産者はどう答えるだろうと同様の質問を父に尋ねました。父は軽自動車を運転しながら軽やかに納得の答えを返しました。
「んー、まぁ健康だったらええねぇ」
おみごと。可能性は祝福されました。(2016.06.21)