MOTHER-25話 おはよー

渡しのクオリア
 故郷にて、その昔「大人びている」と言われていた旧人と会ったところ、なるほどかつて持て余していた精神に肉体が追いつきつつあるように見受けられました。10年後には特注のスーツのようになじむのでしょう。もし彼の幽霊と出会うことがあれば、その頃の姿をしているのかもしれません。
 さて、まもなく盆にございます。あちらの世界の蓋が開き、あちらの方々がお帰りになるとのことです。あちらから戻った亡き祖父の姿は、いくつの時の姿を現すのでしょうか。戦地から生還した青年の姿か?娘を送り出した壮年の姿か?陽気さと気難しさの混在する晩年の姿か?できれば管につながれ、初めてモノを見るような眼差しで親族を見る最晩年の姿でないことを祈るばかりです。
 自分の幽体は何歳の姿か?とも考えるのですが…今のところ10代前半あたりになるのではと一連の妄想を育み申し上げます。(2016.08.09)

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